(写真提供は第一財経)
中国日本商会は16日、第12冊目となる「中国経済と日本企業2021年白書」を発表した。それによると、新型コロナウイルス感染症が在中国の日系企業に与えた影響は限定的で、9割以上の企業が「生産拠点を調整する計画はない」としており、中国市場からの大規模な移転や撤退の動きはみられないという。また、他国がこれから長期にわたり感染症の影響を受ける可能性のあることを念頭に置いて、各企業の本社が中国業務に寄せる期待が上向いているという。「環球時報」が伝えた。
同白書が引用した、日本貿易振興機構(ジェトロ)が実施した最新の「アジア・オセアニアの日系企業実況調査」の結果によると、2020年度の営業利益(予測値)について、「利益があった」と答えた在中国日系企業の割合は63.5%で、19年度の68.5%から5ポイント低下した。「損失を出した」とした割合は19.5%で、19年度の13.2%から6.3ポイント上昇した。世界金融危機が終息した09年度の調査時には損失の割合が25.8%で、12-16年の同割合はいずれも20%を超えた。こうしたことを踏まえ、同白書は、「感染症とグローバル経済の鈍化が在中国日系企業に与えた影響は限定的である」との見方を示した。
同白書によると、在中国日系企業は現地調達の割合を高める方針を一貫して取っており、製造業企業の原材料・部品調達の地域別の割合を見ると、10年は中国国内が約58.3%に上り、19年には69.5%に上昇した。感染症などの要因の影響により、20年は割合がやや低下したが、下がり続けることはなかった。「今後1-3年間に所在国・地域での現地調達の規模をさらに拡大する計画があるか」との質問に対しては、90.4%が肯定的な態度を示した。この割合はアジア太平洋地域全体で最も高いものだった。
日系企業の生産拠点調整に関する意向をたずねてわかったのは、これまでに生産能力の大規模な移転や撤退の動きはなかったことだ。「感染症の蔓延及び貿易環境の変化のため、生産拠点を調整する計画があるか」との質問には、92.8%が「そのような計画はない」と答えた。
同白書によると、複数の国で同時に業務を展開する企業の場合、中国以外の国・地域で感染症が長期的な影響をもたらす可能性があることを念頭に置いて、各企業の本社が中国業務に寄せる期待が上向いているという。
出典:「在中国日系企業の9割超『中国から撤退しない』」(人民網日本語版)