数日来、蘇州高新区の数名刺繍マスターが次々と北京冬季五輪記念作品を捧げ、芸術化の視点からオリンピック精神を理解し、芸術と体育が垣根を越えて融合することを実現し、中国の伝統文化と現代世界と対話するようにしている。
盧梅紅工芸士
研究員レベルの高級工芸美術師、江蘇省工芸美術名士盧梅紅氏は北京のある五輪公式グッズの指定サプライヤーの委託を受け、3つの蘇州刺繍団扇の設計・制作に携わった。
「蘇州刺繍は静かで古典的なものであるが、冬季五輪の各競技は情熱溢れるもの。この面白いコントラストはちょうど中華文化の豊かさと多様性を現すわけで、オリンピック精神と蘇州刺繍の繊細・洗練のコラボとなっている」と盧氏は言った。こういう理念に基づき、彼女が設計に携わった団扇は国際と伝統、体育と工芸が融合して、団扇の表側には冬季五輪のマーク、裏側には鳥や花などの伝統的な蘇州刺繍模様が刺しゅうされている。それに、その鳥や花の模様を設計した時には、団扇の古典的で上品な風格を保つために、伝統の特徴を重んじるとともに、よく見られる鳥や花のスタイルにこだわらず、革新を体現しなければならなかった。このため、盧氏は娘の郁竹君氏と一緒に歴代の絵画作品を一々と見て、インスピレーションを受けた。従って、最後の設計案は古人の典雅も今人のお洒落も備わり、中国伝統蘇州刺繍の文化自信と冬季五輪の奮闘精神がぴったり合うことを表した。
鄭葉青工芸士
近年、東渚(蘇州にある鎮)刺繍マスター・鄭葉青氏は芸術作品と生活用品を研究し、多種類の刺しゅう関連グッズシリーズを開発した。伝統とファッションが融合しているこれらの製品は生活に芸術の趣が付け加わるとともに、実用性もそなわっている。
2021年、国家体育総局冬季運動会管理センターの委託を受け、浙江省のある文化会社は北京冬季五輪を記念し、選手たちを応援するために、関連グッズを生産し始めた。それに、鄭葉青は誘いを受け、一連の中国アイコンを含む刺しゅう文化クリエイティブ製品を開発した。これらの製品は中国の「福」という文化アイコンを特に表現し、春夏秋冬の4シリーズに分けており、そして、その包装は中国文化の観音びらきを採用し、宮廷風となっており、また青い空と白い雪を象徴する青色と白色を使って、世界各国の選手が中国に来て冬季オリンピック大会に参加することを歓迎するという意味が込められて、綺麗である同時に、実用性も備わっている。
姚琴華工芸士
フィギュアスケートは競技と芸術の融合であるため、選手が音楽、ダンスぴったりマッチする美しい衣装を着なければならない。2020年、姚琴華刺繍芸術館チームは北京服装学院の委託を受け、プロジェクトチームに協力して試合用のフィギュアスケート服装の研究を始めた。試合用のフィギュアスケート衣装を設計するには、選手が選んだダンスと音楽の特徴を把握する上に、選手のスタイル、個性、美意識などをも考慮しなければならないゆえに、設計しながら、ずれを発見して修正し、マッチングしていくのはほとんど。これは当該プロジェクトに携わった姚氏のチームにとって、チャレンジと未知が満ちている課題となっている。
姚氏は試合用の衣装に蘇州刺繍を施そうとすれば、選手の大幅の振舞いを考えながら、芸術的な表現力を強めなければならない。それに、服装デザイナーが使っているのは弾力性が高い布地で、網状のものも多いため、刺しゅうは難しくなると説明した。2020年から2021年までの丸二年間、姚琴華刺繍芸術チームは数多くのイノベーションをし、いろんなステッチを試し、多くの課題を解決して、氷雪中国代表チームが北京五輪を準備するために保障を提供してきた。
姚建萍工芸士
新年を前に、北京オリンピック博物館は中国工芸美術マスター姚建萍氏が創作した蘇州刺繍作品「仕女蹴鞠図」を正式に収蔵した。
「仕女蹴鞠図」の幅は60センチ、高さは40センチ。その中の仕女の衣はひらひらと舞って、帯に描かれている模様のステッチは均等で繊密、縫い目が見えなく、まるで刺繍糸一本で仕上げられたようで、人物の動作のリズムも刺しゅうの糸の並びから見えられ、細かいところに凝らしている工夫は驚くべきである。素朴で繊細なステッチや典雅で上品な絵画、簡素でありながら力強く、滑らかな線、スムーズで鮮明な色合いは当時の歴史的な風貌と民族文化の特徴をいきいきと表現している。
2017年、両面繍の「仕女蹴鞠図」は国礼として国際オリンピック委員会(IOC)に贈った。当時、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長はそれを受けて、スイスのローザンヌに位置する国際オリンピック委員会本部のオリンピック博物館に収蔵した。国際社会に中国の優れた刺しゅう工芸、悠久の体育文化を示すために、「オリンピックに関する記憶を共有、我が目で『冬夏の2回五輪主催』の光栄を記録」をテーマとするオリンピックに関わる収蔵品の収蔵式典においては、この「仕女蹴鞠図」はまた北京オリンピック博物館に収蔵された。
鄒英姿工芸士
このほど、中国工芸美術マスター鄒英姿氏の作品は「相約北京」オリンピック文化祭、「相約北京、遇見江南」蘇州文化芸術展示週に出展され、「最も江南らしい」蘇州の伝統工芸を使って北京五輪を応援した。北京冬季オリンピック組織委員会展示センターの多機能ホールの一隅に立っている長さが10メートルの展示台にはいろんな蘇州無形文化遺産が陳列されており、展示台はまるで「江南の窓」のように、世界からの人々にこの江南都市の奥深い歴史と文化を展示している。現場で、鄒氏は蘇刺繍の技法を披露して、ゲストと蘇州の間の距離を縮めた。
陳紅英工芸士
旧暦の正月四日は二十四節気の立春、それに北京五輪が開幕する日でもある。当日、「繍美高新」の刺繍開始式典が西部生態旅行リゾート(鎮湖街道)の陳紅英刺繍アトリエで開催され、盛大な大会である冬季五輪の開催を応援した。陳紅英氏は「春」という漢字からこの作品の第一ステッチを刺しゅうし、刺繍糸を分け、針に通し、刺しゅうして、洗練な針仕事で選手たちへ春の挨拶を伝えようとした。
当該イベントの企画者、中国科学院蘇州地理情報と文化科学技術産業基地の斎徳利博士は「選手たちは舞い上がる氷雪の中で光栄と夢のために走ったり、飛んだりするのはまるで春に土の下から生えてくる新芽のように勇敢で力強いと思う。私たちは蘇州刺繍を持って彼らへ祝福の意を伝えたい」と語った。